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深海

ウバザメの深海食卓? 海洋薄明帯で餌を摂るバスクシャークの新発見

ウバザメの深海食卓? 海洋薄明帯で餌を摂るバスクシャークの新発見

体長が10メートルを超える世界で2番目に大きな魚、ウバザメ(バスクシャーク)が、これまで考えられていた表層だけでなく、水深200〜1000メートルの「海洋薄明帯(オーシャン・トワイライト・ゾーン)」で活発に餌を摂っていることが、ウッズホール海洋研究所(WHOI)の科学者による最新研究で明らかになりました。

この発見は、巨大な濾過摂食者であるウバザメの生態に関する従来の常識を覆し、地球上で最も広大な生物生息域の一つである海洋薄明帯の生態系における、その重要な役割を示唆するものです。

水深200〜1000mの神秘:海洋薄明帯の役割

海洋薄明帯(Ocean Twilight Zone または mesopelagic zone)とは、水深200メートルから1000メートルにかけて広がる、太陽光がほとんど届かない海の領域を指します。このゾーンは、暗闇に包まれながらも地球上で最も多くの魚類バイオマス、つまり生物の総質量が存在すると推定されており、その量は世界全体の漁獲量の10倍に相当するほど膨大です。

光合成が行われないため、この領域の生物は表層から沈降する有機物や、昼間は深海に隠れ、夜間に表層へと移動する生物群(日周鉛直移動)に依存しています。海洋薄明帯は、地球の炭素循環においても極めて重要な役割を担っており、表層から深海へと炭素を運び込むポンプのような働きをするのです。

常識を覆す摂食行動:バスクシャークの知られざる食卓

これまでの研究では、ウバザメは主に表層近くで、口を大きく開けてプランクトンを濾過摂食すると考えられていました。しかし、WHOIの研究チームは、ウバザメに衛星タグを取り付け、その詳細な行動パターンを追跡することで、驚くべき事実を発見しました。

データは、体長約10メートルのウバザメが、一日を通して繰り返し海洋薄明帯へと潜り、その深度で餌を摂っていることを示していました。この巨体が、光の届かない深海でどのようにして餌となる動物プランクトンを見つけ、効率的に捕食しているのかは、まだ多くの謎に包まれています。

この摂食行動の発見は、ウバザメが特定の季節や時間帯だけでなく、年間を通じて多様な環境を利用している可能性を示唆します。彼らが深海で摂食する時間は、水深が深くなるにつれて徐々に短くなるものの、それでも彼らの食生活において重要な部分を占めていることが分かったのです。

なぜ深海へ? 謎めいたウバザメの適応戦略

ウバザメが海洋薄明帯で餌を摂る理由はいくつか考えられます。一つには、表層での競合を避けるためでしょう。表層には他にも多くの濾過摂食者が存在します。深海は、より安定した環境であり、特定の種類のプランクトンが豊富に生息している可能性も捨てきれません。

また、深海への潜水は、温度の低い環境で代謝を抑え、エネルギー消費を効率化する戦略かもしれません。しかし、これほど巨大な生物が深海という高圧・低温の環境に適応し、効率的に摂食活動を行うメカニズムについては、さらなる研究が必要です。ウバザメの新たな生態は、海洋生物の多様な適応戦略の一端を垣間見せるものです。

エルニーニョが示す海洋環境の複雑性

今回のウバザメの発見は、海洋環境の複雑な相互作用を改めて浮き彫りにします。例えば、広大な海域の気象パターンに影響を与えるエルニーニョ現象も、海洋の深い部分と密接に関係しています。

エルニーニョ現象は通常、北大西洋の熱帯低気圧の形成を抑制する強い剪断風をもたらすと考えられています。しかし、最近の海水温の上昇は、この抑制効果を打ち消す可能性があり、熱帯低気圧のリスクは依然として残ると専門家は警鐘を鳴らします。海面水温の変化が深海の生態系に与える影響もまた、海洋科学が解き明かすべき重要なテーマです。

ウバザメが海洋薄明帯で餌を摂るという新たな知見は、私たちの深海に対する理解を大きく広げるものです。地球上で最も未解明なフロンティアである深海には、想像を超える生態系が広がっており、その生物たちがどのように環境に適応し、相互作用しているのかを解明することは、地球全体の生命システムを理解する上で不可欠です。深海の神秘を探る旅は、これからも続くでしょう。

この記事は信頼性の高い業界情報源に基づき作成し、編集部が内容を確認・監修しています。お気づきの点はお問い合わせよりお知らせください。

よくある質問

ウバザメ(バスクシャーク)はどこに生息していますか?
ウバザメは世界中の温帯から寒帯の海域に広く生息し、これまでは主に表層で餌を摂ると考えられていましたが、最新の研究で水深200〜1000mの海洋薄明帯でも摂食していることが明らかになりました。
海洋薄明帯とはどのような場所ですか?
海洋薄明帯(メソペラジックゾーン)は、水深200〜1000mの領域で、太陽光がほとんど届かず薄暗い環境です。しかし、地球上で最も多くの魚類バイオマスが存在すると推定される、豊かな生物圏です。
ウバザメが深海で餌を摂る理由は何ですか?
表層での餌の競合を避けるため、または深海に特定のプランクトンが豊富に存在するため、さらには低温環境で代謝を抑えるエネルギー効率化のためなど、いくつかの可能性が考えられています。しかし、詳細な理由はまだ研究途上です。

出典

深海海洋科学ウバザメバスクシャーク海洋薄明帯メソペラジックゾーン深海生物生態系