SUBSEA DEEP OCEAN EXPLORER
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35.6°N 139.7°E
DEPTH
0m
SURFACE
深海

300万年前の氷が覆す気候の常識

300万年前の氷が覆す気候の常識
南極の氷床から掘り出された300万年前の氷を分析したところ、地球が大きく寒冷化していた時期にも、大気中のCO2やメタンの濃度がほとんど変わっていなかったことが判明しました。温室効果ガスこそ気候変動の主役だという長年の前提に、深海から疑問符が突きつけられたのです。 気候を冷やした犯人は、空気ではなく海だった——。その可能性が、いま真剣に議論されています。 ## CO2が動かなかった300万年前の寒冷化 約300万年前、地球は徐々に寒冷期へと向かっていました。海洋を含む地球全体が著しく冷え込んだこの時代に、何が起きていたのか。最新の氷床コア分析が示したのは、寒冷化の進行中もCO2濃度に大きな変動がなかったという意外な事実でした。[1] 氷期と間氷期が繰り返す長期的な気候サイクルは、温室効果ガス濃度の上下が引き金になる。教科書的にそう説明されてきた図式が、ここで揺らぎます。ガスが一定なら、地球を冷やした力は別にあったことになる。 ## 氷の気泡に閉じ込められた古代の大気 南極の氷床を数千メートル掘り進めると、何十万年も前に降り積もった雪が、押し固められた氷として現れます。この氷の柱が「氷床コア」です。 降雪が積もる過程で、当時の空気が小さな気泡として氷の中に閉じ込められる。つまり氷床コアは、過去の大気をそのまま保存したタイムカプセルなのです。研究チームはこの気泡と、内部に含まれる希少なガスを精密に測定し、300万年前の大気組成を直接読み取りました。[1] ## 気候を動かした真の主役、海洋深層循環 CO2が主役でないなら、誰が気候を動かしたのか。研究者が候補に挙げるのは、大陸氷床の拡大と後退、地表が太陽光を跳ね返す割合であるアルベドの変化、そして地球規模で熱を運ぶ海洋循環の3者です。[1] とりわけ重視されているのが、数千年をかけて世界の海をめぐる海洋深層循環。冷たく重い海水が深海へ沈み込み、ゆっくりと地球を一周するこの流れは、熱を再配分する巨大なベルトコンベアにあたります。その経路や強さがわずかに変われば、地表の気候は大きく姿を変える。氷が語る寒冷化の背後に、この深海の流れがいた可能性が浮上しています。 ## 2025年、パナマ湾の湧昇が40年ぶりに止まった 海洋循環が気候を左右する力は、過去だけの話ではありません。中米のパナマ湾では毎年、季節風が表層の海水を沖へ押し流し、その空白を埋めるように水深数百メートルの冷たく栄養豊富な水が湧き上がります。湧昇と呼ばれるこの現象が、豊かな漁場を支えてきました。 ところが2025年、40年以上にわたって観測されてきたこの湧昇が、突然途絶えたのです。[2] 原因は例年になく弱かった風とみられています。深層からの栄養供給が止まったことで海の生産性は落ち込み、沿岸の水温は上昇しました。[2] 当たり前に繰り返されてきた海の仕組みさえ、気候の揺らぎはあっけなく書き換えてしまう。 ## 過去と現在をつなぐ深海観測の必要性 300万年前の氷と、2025年のパナマ湾。時代も場所も隔たった二つの出来事が、同じ方向を指しています。気候を動かす力の中心に、これまで脇役とされてきた海洋の循環が座っているという視点です。 気候の未来を読み解く鍵は、もはやCO2濃度のグラフだけでは足りません。深海の流れがいつ、どのように変わるのかを観測し、過去の変動メカニズムを解き明かす研究が、これまで以上に問われています。漆黒の深海は、地球の体温を握る答えをまだ静かに抱えたままです。

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よくある質問

南極の氷からどうやって過去の気候が分かるのですか?
氷床には、形成された当時の雪と一緒に古い空気が気泡として閉じ込められています。この気泡を分析することで、過去の二酸化炭素濃度などを直接測定でき、気候変動の歴史を読み解くことができます。
湧昇(ゆうしょう)とは何ですか?なぜ重要なのですか?
湧昇とは、風などの力で深海の冷たく栄養豊富な水が海面に上昇してくる現象です。これにより植物プランクトンが大量に発生し豊かな漁場が形成されるため、海洋生態系にとって生命線ともいえる重要なプロセスです。
海洋循環は気候にどう影響するのですか?
海洋循環は、赤道付近の熱を極地方へ運ぶ地球規模のベルトコンベアのような役割を担っています。この流れが変化すると地球全体の熱バランスが崩れ、氷期の到来など、気候に大きな変動をもたらす可能性があります。

出典

  • ScienceDaily: Ancient Antarctic ice is revealing a surprising new chapter in Earth’s climate story, stretching back 3 million years. By analyzing tiny pockets of trapped air and rare gases, scientists have discovered that while the planet cooled significantly—especially in the oceans—levels of key greenhouse gases like carbon dioxide and methane changed only modestly. This unexpected mismatch suggests other powerful forces, such as shifting ice sheets, ocean circulation, and Earth’s reflectivity, played major roles in driving long-term climate change.
  • ScienceDaily: For decades, the Gulf of Panama has relied on strong seasonal winds to trigger upwelling, bringing cool, nutrient-packed water to the surface. But in 2025, this dependable event didn’t happen. Researchers point to unusually weak winds as the likely culprit, reducing ocean productivity and warming coastal waters.
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